天井 HEPA 送風ボックスとは?給気の「最終関門」
天井 HEPA 送風ボックス(Ceiling HEPA Box、末端送風ボックス、HEPA ハウジングとも)は、クリーンルームや手術室の天井に設置する末端給気装置です。中央空調(AHU/MAU)がダクトで空気を送り、室内へ入る直前にボックス内の HEPA で最終ろ過し、吹出面から均一に室内へ送ります。
たとえるなら、空調システム全体が家の配管で、天井 HEPA ボックスは蛇口の先端に付いたカートリッジ——水がどれだけ遠くから来ても、最後に出る瞬間は必ず清浄です。
これは HEPA/ULPA フィルター システムで使用者に最も近い部分です。手術室では手術台上方の清浄度を、クリーンルームでは各吹出口の番人を担います。佰聖の 天井 HEPA Box はこの末端給気カテゴリーに属します。
HEPA Box 断面:ダクトから清浄区へ
選び方を理解するため、まず内部構造を見ます。
天井 HEPA 送風ボックスは通常、次の部分で構成されます:
- ▸筐体:亜鉛めっき鋼板またはステンレスで HEPA を包む。
- ▸ダクト接続(カラー):上接または側接で中央ダクトへ。各ボックスの風量を調整するダンパーを併設することが多い。
- ▸HEPA フィルター:主に H13/H14、手術室や超清浄区は ULPA U15。
- ▸シール機構:ゲルシールまたはナイフエッジ。HEPA 枠と筐体間の漏れを防止。
- ▸吹出面:整流用の拡散板、または一方向流用の層流パネル。
- ▸PAO 試験口:設置後の個別漏れ走査用の上下流採取口。
FFU ファンフィルターユニット との最大の違い:HEPA ボックスはファンを持たず、遠端の中央空調で給気します。つまりファンの騒音と発熱が天井に残らず、保守は機械室に集約。FFU はファン内蔵でモジュール式。優劣ではなく給気アーキテクチャの違い——集中式空調は HEPA ボックス、モジュール分散給気は FFU。
天井末端給気 3 方式:層流・拡散・FFU
いずれも天井設置ですが、給気方式は 3 つあり気流が大きく異なります。
- ▸層流送風天井(LAF):大面積 HEPA アレイで一方向垂直流を生成。手術台直上など超清浄区に。
- ▸拡散型 HEPA Box:吹出面が拡散板で混合・拡散、広く被覆。一般クリーンルーム末端や手術室周辺に。
- ▸FFU:ファン内蔵モジュール——FFU 選定ガイド 参照。
手術室の層流送風天井
手術室は天井 HEPA 送風ボックスで最も厳格な用途です。Class 1 層流手術室(関節置換・心臓・臓器移植)は手術台直上に大面積の HEPA 送風天井を敷き、均一な垂直層流——手術区を覆う「空気の滝」——で ISO 5 を実現。脱落した皮屑や繊維は下方へ運ばれ、創部に落ちません。
よくある混同を整理:送風ボックスは「清浄度」を、室圧は「方向」を決めます。 手術室は陽圧(外の汚染を入れない)、陰圧隔離病室は陰圧(病原を漏らさない)。圧力方向の全体ロジックは 病院隔離病室・手術室 HEPA 構成 を参照。本稿は送風ボックスというハードウェア自体に焦点。佰聖の 手術室/陰圧隔離病室専用 HEPA Box はこうした医療用途向けです。
室内側交換 vs 天井側交換
天井 HEPA は使用するうちに交換が必要です。交換方向に 2 つの設計があり、違いは大きいです:
- ▸室内側交換可(room-side replaceable):クリーンルーム室内側から HEPA を外して交換、天井プレナムに登る必要なし。利点:プレナム保守空間の節約、動線が単純、停止時間が短い。
- ▸天井側交換(plenum-side):上方プレナムから交換、十分な保守空間と通路が必要。
プレナムが浅い、またはスケジュールが詰まった現場(多忙な手術室など)には、室内側交換が大きな利点です。
シール方式も交換に関係:ゲルシール が最も一般的でシール性良好・設置容易、ナイフエッジは頻繁交換や BIBO 併用に適します。
選定早見
天井 HEPA 送風ボックス購入時、下表は項目ごとに確認すべき主要欄です。
選定の要点:呼称寸法は天井 T バーモジュールに整合、HEPA 等級は清浄度で(手術台 H14、超清浄 U15)、吹出面は層流区で層流パネル・一般区で拡散板、多箱系は必ず風量調整で平衡を。
設置後検証:PAO 漏れ走査
天井 HEPA 送風ボックスは設置して終わりではありません。HEPA 枠と筐体間、ろ材自体に漏れがないかは PAO(または DOP)漏れ走査 で個別検証——だからボックスに PAO 試験口を設けます。走査方法と判定基準は PAO 試験の完全解説 を参照。
多段ろ過アーキテクチャ全体(プレ → 中性能 → 末端 HEPA)の組み合わせは クリーンルーム用フィルター完全ガイド を参照。
よくある質問
Q:天井 HEPA 送風ボックスと FFU はどう選ぶ?
給気アーキテクチャ次第です。集中式空調(1 台の大型ファンがダクトで多数の吹出口へ)なら HEPA ボックス——ファン騒音と発熱が機械室に留まり、天井が清潔で静か。モジュール分散給気(各吹出口がファン内蔵で独立調速)なら FFU。手術室や多くの医療現場は HEPA ボックス(中央空調 + 静音)を、半導体の大面積クリーンルームは FFU(モジュール・拡張容易)を好みます。
Q:室内側交換可(room-side replaceable)とは?利点は?
クリーンルーム室内側から HEPA を交換でき、天井プレナムに登る必要がないことです。利点:プレナムに保守通路が不要(省スペース)、動線が単純、停止時間が短い。プレナムが浅い、またはスケジュールが詰まった現場(手術室など)に特に有用。
Q:手術室はなぜ一般拡散でなく層流送風天井が必要?
手術創部には一方向・非循環の気流が必要で、粒子を絶えず下・外へ運び去るためです。層流送風天井は大面積 HEPA アレイで均一な垂直流を作り、手術台上方に ISO 5 超清浄区を形成。拡散型は混合・乱流で、室全体の清浄度には十分でも、手術台上方のあの「空気の滝」的一方向保護は提供できません。よって手術室は「手術台上は層流天井 + 周辺は拡散型」を併用します。
Q:HEPA Box のシールはゲルとナイフエッジどちら?
ゲルシールが主流で、シール性良好・設置容易、ほとんどのクリーンルームと手術室に適します。ナイフエッジは頻繁交換や危害環境での BIBO 併用に優位。一般用途はゲルで十分。
Q:天井 HEPA はどのくらいで交換?判断は?
最も信頼できるのは差圧:終期圧損が初期の約 2 倍で交換。手術室給気 HEPA は約 3–5 年ですが、実寿命は外気品質、前段プレ/中性能の保護、給気量に依存。差圧傾向を定期記録し、年次 PAO 走査で漏れなしを確認しましょう。
Q:手術室と陰圧隔離病室の HEPA Box は同じ?
筐体と HEPA 等級は類似可ですが「気流方向」と重点が異なります。手術室は陽圧で HEPA は給気側(清浄空気を手術区へ)、陰圧隔離病室は陰圧で排気側の HEPA を重視(排出する病原含有空気をろ過)。よって医療用 HEPA Box は給気側か排気側か、BIBO 交換要否で設計考慮が異なります。
