WHO は 2021 年にグローバル大気質ガイドラインを厳格化:PM2.5 年平均 5 μg/m³24 時間平均 15(2005 年の 10 / 25 の約半分)。

汚染の高い季節、都市部屋外 PM2.5 は頻繁に 50 μg/m³ を超える。今、あなたのリビングの中は何 μg/m³?

「窓を閉めれば安全」は半分真

図1:屋内 PM2.5 は屋外より何割減るか

「家にいれば安全」は条件付き — 家が空気をろ過しているか次第

015304560WHO 指針 5WHO 24h 15屋外空気50 μg/m³屋内未処理30–40屋内 中効+HEPA< 15PM2.5 (μg/m³)

WHO 2021 空気質ガイドライン:PM2.5 年平均 5 μg/m³、24 時間平均 15 μg/m³(旧 10/25)。

研究は一貫して ろ過なしの室内 PM2.5 は屋外の 60–80 % を示す。なぜか?

経路 A:屋外空気の侵入

  • 建物外気導入 —— 中効フィルターなしまたは弱い場合、PM2.5 がそのまま入る
  • 窓・扉の隙間 —— 「閉めている」状態でも古い建物や気密不完全な建物は継続的に漏れ込む
  • 扉の開閉 —— 人の出入りごとに外気を持込む

経路 B:室内発生

「室内に PM2.5 発生源はない」と思いがちだが違う。一般的な室内発生源:

  • 調理 —— 炒め物・揚げ物で瞬間的に数百 μg/m³
  • 副流煙 —— 非常に高い PM2.5 濃度
  • レーザープリンター・コピー機 —— トナー微粒
  • 人の活動 —— 皮膚片・衣服繊維
  • ろうそく・お香 —— 不完全燃焼で大量の微粒子

両経路を合わせると、室内は想像以上に汚れている。

WHO 推奨値を目指す 3 ステップ

図2:屋内 PM2.5 改善の 3 ステップ

外気口 → 屋内循環 → 差圧管理、3 つ同時で効果発揮

1

外気口の高効中効

ISO ePM2.5 ≥ 80 %(概ね F8–F9)を外気導入に

屋外汚染の大半を入口で遮断
2

屋内循環 HEPA

空気清浄機または戻り側 HEPA ユニット

屋内発生粒子(調理・人・印刷)を処理
3

陽圧の維持

建物をわずかに陽圧(+5 〜 +10 Pa)

未ろ過外気の隙間侵入を防ぐ

空気清浄機単体では限界がある。屋内 PM2.5 を 15 μg/m³ 以下で維持するには 3 段階すべてが必要。

1 つ欠けても効果は大幅低下。

ステップ 1:外気口に高効中効フィルター

建物外気導入ダクトISO ePM2.5 ≥ 80 %(EN 779 F8–F9 相当)を設置。

なぜこの等級?

低等級(例:ePM10 50 %)は PM2.5 を全く止められない —— 0.5–2.5 μm がそのまま通過。PM2.5 捕集には最低 ePM2.5 50 %、低濃度維持には ePM2.5 ≥ 80 % から。

ステップ 2:屋内 HEPA 循環

外気が完璧でも 屋内発生粒子の処理が必要。選択肢:

  • 空気清浄機 —— スタンドアロン、移動可、寝室・リビング向き
  • 戻り側 HEPA ユニット —— セントラル空調統合、全館循環

選定ポイント: ファンサイズではなく CADR(Clean Air Delivery Rate)。400 m³/h CADR なら約 100 m² をカバー(4–5 換気/時)。

ステップ 3:陽圧維持

ステップ 1・2 をやっても 隙間から未ろ過外気が漏れ込む と台無し。

対策: 空調を 給気 > 排気 で設計し、屋外比 +5 〜 +10 Pa 陽圧 を維持。

空気は 屋内→屋外 のみ流れる(隙間から)。未ろ過外気は侵入不可。

実地チェック: 全窓扉を閉め、扉隙間の近くに線香を立てる。煙が外向き = 陽圧(OK)、内向き = 負圧(要改善)。

実務上の 3 つの疑問

疑問 1:空気清浄機は効くか?

効く、ただし限界あり。

  • 強み: 屋内発生 PM2.5 に非常に有効、可搬で展開容易
  • 限界: 置いた部屋のみ 処理、他室は未対応、外気侵入が効果を薄める

清浄機のみで外気管理なしは、室内 PM2.5 を 30–50 % しか削減できず、15 μg/m³ 以下維持は困難。

疑問 2:窓を開けて換気 vs 閉めてろ過、どちら?

屋外空気品質による:

  • 屋外 PM2.5 < 15 μg/m³(WHO 24h 値)→ 開けてよい
  • 屋外 > 25 μg/m³ → 閉 + 機械換気(ろ過あり)
  • 屋外 > 54 μg/m³ → 完全封鎖 + ろ過頼り

1 モード固定ではなく、空気品質に応じて動的切替。

疑問 3:改善効果をどう確認?

家庭用 PM2.5 センサー(USD 60–150 程度)を設置。

24 時間監視:

  • 室内が 15 μg/m³ 以下 で安定しているか
  • 調理後 30 分以内に 15 以下に戻るか
  • 部屋間の差(大きい = 換気不均一)

数字なし = 管理なし。 感覚判断はほぼ誤る。

特殊空間への推奨

  • 乳幼児空間 —— ePM1 ≥ 50 % から。乳幼児は呼吸数が多く肺発達途上
  • 医療施設 —— HEPA 標準、感染管理区は H14 以上
  • 学校 —— 人口密度高い、ePM2.5 ≥ 80 % + 機械換気推奨
  • 高齢者 —— 心肺機能が弱い、一般住宅より一段階厳しく

「家で窓を閉めれば安全」は半分真。 完全な答えは 窓を閉める + 真面目にろ過する + 陽圧維持。それが本当の安全。