99.95 % と 99.995 % は 0.045 % しか違わないように聞こえる。しかし — 透過する粒子数は 10 倍 違う。

「9 を 1 つ増やす」とは一桁上がること

EN 1822 / ISO 29463 に基づき、高性能フィルターは 5 等級に分かれる:

図1:HEPA / ULPA 効率ラダー(EN 1822 / ISO 29463)

一段上がるごとに「透過数」が一桁ずつ減少 — 10 倍ずつ厳しくなる

等級効率(@MPPS)100 万個あたり透過数
H1399.95 %
≤ 500 個 / 100 万
H1499.995 %
≤ 50 個 / 100 万
U1599.9995 %
≤ 5 個 / 100 万
U1699.99995 %
≤ 0.5 個 / 100 万
U1799.999995 %
≤ 0.05 個 / 100 万

効率 % は EN 1822 / ISO 29463 に基づき MPPS(最大透過粒子径、約 0.1–0.3 μm)で測定。「透過」= 挑戦粒子 100 万個のうちフィルターを通過する個数。

一段上がるごとに透過率が一桁ずつ減少:

  • H13(≧99.95 %)— チャレンジ粒子 100 万個あたり最大 500 個透過
  • H14(≧99.995 %)— 最大 50 個
  • U15(≧99.9995 %)— 最大 5 個
  • U16(≧99.99995 %)— 最大 0.5 個
  • U17(≧99.999995 %)— 最大 0.05 個

H13 から U17 まで効率差は 1 万倍。これが「9 を 1 つ増やす」の本当の意味だ。

MPPS:フィルターの最も弱いポイント

直感的には「小さい粒子ほど捕集しにくい」と思うかもしれない。間違いだ。

フィルター捕集は 3 つの機構が重なって働く:慣性衝突(大粒子)、さえぎり(中粒子)、ブラウン拡散(小粒子)。0.1–0.3 μm の中間帯ではどれも最強ではない —— これが MPPS(Most Penetrating Particle Size、最大透過粒子径)

EN 1822 / ISO 29463 の効率表示はすべて MPPS で測定される。都合の良い粒径で測ってきれいな数字を書くのではない —— フィルターが最も弱い 1 点で測る。

「H14 ≧99.995 %」の本当の意味: 最も捕集しにくい粒子でも 50 ppm しか透過させない。

27 % の圧損増で何が手に入る?

同サイズ(佰聖科技 610 × 610 × 292 mm)、同風量(1,000 CMH):

図2:H14 HEPA と U15 ULPA の初期圧損比較

佰聖科技 610 × 610 × 292 mm フィルター、定格風量 1,000 CMH 実測値

0100200300初期圧損 (Pa)H14 HEPA220 PaU15 ULPA280 Pa+60 Pa (+27 %)

圧損が 60 Pa 増えるごとにファン消費電力は約 10–15% 増加し、FFU 1 台あたり年間 200–400 kWh の追加電力消費に。ULPA への過剰仕様は調達費用だけでなく運用電気代も押し上げる。

U15 は H14 より 60 Pa 高い —— 圧損は約 27 % 増

この 60 Pa はタダではない:

  • ファンは空気を押し出すのに 10–15 % 余計に電力を要する
  • FFU 1 台あたり年間 200–400 kWh の追加消費
  • FFU 1,000 台規模の工場なら年間電気代が数十万元上乗せになる
9 を 1 つ増やすたびに圧損とエネルギーが増える。払う価値があるところに払い、ないところは省く。

HEPA と ULPA、どちらを選ぶ? ISO Class が決める

フィルター選定は「高いほど良い」ではない —— ISO 14644-1 の清浄度要求から決まる:

図3:ISO Class とフィルター等級の対応表

ISO 14644-1 清浄度クラスごとの推奨フィルター等級と気流方式

ISO Class推奨フィルター典型的な用途気流
Class 3 (↓)U15 / U16 ULPA先端半導体リソグラフィ、EUV 光学部層流
Class 4–5H14 HEPA一般半導体、OLED、無菌製剤充填層流
Class 6–7H13 HEPA電子組立、光学検査、医薬品 C/D乱流可
Class 8–9中/高効率食品包装、手術室周辺、一般クリーン乱流可

一般的なエンジニアリング指針。実際の選定はプロセス、目標粒径、落下菌/粒子の限度、検証状態を踏まえる必要がある。ISO Class 1–2 は本表の範囲外。

直接的な対応:

  • 先端半導体リソグラフィ / EUV(ISO Class 3 以下)— U15 または U16 ULPA 必須
  • 一般半導体、OLED、無菌製剤(ISO Class 4–5)— H14 HEPA で十分
  • 電子組立、光学検査、医薬品 C/D(ISO Class 6–7)— H13 HEPA で足りる
  • 食品包装、手術室周辺(ISO Class 8–9)— 中 / 高効率フィルターで可

ISO Class 5 の無菌充填ラインに U16 を無理に入れても、電気代を燃やすだけでエンジニアリング的な意味はない。逆に EUV 光学エリアで節約して H14 にすれば、レチクル 1 枚で数百万の損失もありうる。

実務選定の 3 つの落とし穴

落とし穴 1:最高等級を闇雲に追う

過剰仕様は初期調達費長期運用費(高圧損 = 電気代増)を同時に押し上げる。ISO Class を先に固め、そこからフィルターを選ぶ —— 順番を間違えない。

落とし穴 2:平均効率だけ見て個別スキャンテストを無視

「このフィルター平均で H14 達成」は 局所ピンホール漏れがないこと を意味しない。EN 1822-4 は H14 / U15 以上で個別スキャンテストを要求する:移動式プローブでフィルター全面を走査し、どの一点も局部透過率が基準を超えないことを確認する。

納品時は必ず当該フィルターの Scan Test 報告書を要求する。 これがなければ平均効率証書にすぎず、局所漏れは捕捉できない。

落とし穴 3:終圧損の設定を忘れる

初期圧損はずっと続かない。粉塵蓄積とともに圧損は上昇し続ける。工学的指針:終圧損 = 初圧損の 2–2.5 倍を交換目安とする。

H14 HEPA の場合:初圧損 220 Pa → 終圧損は 440–550 Pa。到達したら交換。ファンを高圧損で走らせ続ければ、電気代とモーター寿命の両方が犠牲になる。


結論:等級は高いほど良いのではなく、「合う」のが良い

HEPA / ULPA を選ぶときの本当の問いは「どれが最強か」ではなく:

  1. 1プロセスが要求する ISO Class は?
  2. 2MPPS の効率は実証済みか?(スキャンテスト)
  3. 3圧損 / エネルギーはファンカーブと合うか?
  4. 4終圧損はいつ到達する?交換予算は何回分確保するか?

適切な等級を選ぶことは、高い等級を選ぶことより重要だ。