先端ロジックファブは全面均一の清浄度ではない。リソグラフィ区 は 0.1 μm 粒子を 10 個/m³ 以下、通路区は 3,520 個/m³ まで許容 —— 1 万倍 の開き。

なぜ「ゾーニング」するのか?全館を最厳で回せないのか?

答え:コスト、そして物理。

全館を ISO Class 1 に引き上げれば建設費は 5–10 倍、年間 HVAC 電気代もほぼ倍増。さらに人が作業する区域では粒子(皮膚、衣服繊維)が必ず発生し、人在中の空間を Class 1 に維持することは物理的にほぼ不可能

解は ゾーン設計 —— エリアごとに異なる清浄度目標を設定する。

図2:先端ファブのエリア別清浄度

工場全体が同一等級ではない — ロジックファブの典型ゾーニング

エリア清浄度フィルター理由
リソグラフィISO Class 1–2U15 / U16 ULPAレチクルに粒子が付くとパターン破損
エッチング / 成膜ISO Class 3–4U15 または H14プロセス消耗品と反応ガスの影響
主生産区 / 通路ISO Class 5–6H14 HEPA人員移動・搬送、基本清浄度
支援区 / 事務ISO Class 7–8H13 または中効非プロセス区、交叉汚染防止
  • リソ / EUV —— ISO Class 1–2、ULPA + 層流 + 専用 AMC 管理
  • エッチング / 成膜 —— ISO Class 3–4、U15 または H14
  • 一般生産 —— ISO Class 5–6、H14 HEPA
  • 支援 / 事務 —— ISO Class 7–8、中効または H13
ポイント: ゾーニングは手抜きではなく、エンジニアリング最適化。本当に Class 1 が必要なのはレチクル経路と一部プロセス装置周辺のみ。残りも Class 1 にするのは費用の無駄。

3 つの防衛線の役割分担

図1:半導体工場の三重エアフィルター防衛線

各層が異なる汚染レベルを担当 — 粗粒径から分子汚染まで段階的に処理

1
外気処理(MAU / OAU)PM + 一部 AMC
G4 プレ + F7–F9 中効 + 化学(任意)
屋外空気を「予備清浄」状態に
2
循環処理(RCU)細粒径
H13–H14 HEPA
工場内循環空気をさらに浄化
3
末端供給(FFU)MPPS 粒径
H14 HEPA または U15 ULPA
天井 FFU でクリーンルーム作業面へ

先端プロセス(3 nm 以下)では FFU の上に化学フィルター層を追加して AMC を処理、さらに EUV レチクル用の独立超清浄供給も。

各線が異なる汚染レベルを担当:

第 1 線:外気処理(MAU / OAU)

屋外空気が入る前に一度ろ過。典型構成:G4 プレ + F7–F9 中効、粗粒塵・花粉・一部 PM2.5 を捕集。化学フィルターを追加して NH₃、SO₂ 等の外来 AMC を処理する工場も多い。

第 2 線:循環処理(RCU)

工場内循環空気の主力。H13–H14 HEPA を装備、0.3 μm 以下の大半を処理。この線がしっかりしていれば下流 FFU の負担が大幅軽減。

第 3 線:末端供給(FFU)

天井から直接クリーンルーム作業面へ供給する最終段。H14 HEPA または U15 ULPA で MPPS(0.1–0.3 μm)効率 99.995 % 以上を実現。ウェハ直上のラインで、局所漏れがあれば即プロセスに影響。

3 nm 以下ノードの追加課題

線幅が微細化すると、エア管理は粒子だけでなく AMC(分子汚染) も対象に:

変化 1:AMC 管理が「検出可能」から「検出不能」へ。 以前は NH₃ 10 ppb 以下で合格、現在は 1 ppb 未満が目標。化学フィルターの効率・寿命・監視をすべてアップグレードする必要。

変化 2:EUV レチクル専用の超清浄供給。 EUV レチクルは DUV の 10 倍以上の粒子敏感性、1 枚数千万 USD。レチクル POD には独立した超清浄供給 + リアルタイム AMC 監視が必要で、工場循環空気に依存不可。

変化 3:FOUP 内部の汚染管理。 ウェハは装置間を FOUP で移動するが、プラスチック製 FOUP 自体が緩慢に AMC を放出。先端ファブでは FOUP 内部にマイクロ化学フィルターや連続パージシステムを装備する。

ゾーン設計でよくある 2 つのミス

ミス 1:差圧管理が甘い

ゾーン設計はフィルター等級だけでなく 差圧 も重要。清浄区は下位区に対し +5 〜 +15 Pa の正圧を維持。そうでないと汚染が扉隙間や出入り口から逆流する。

現場でよくある失敗:扉開放頻度過多、気密不足、戻り口配置ミス。名目リソ区 Class 1 が実測で Class 2–3 まで悪化する。

ミス 2:フィルターだけ見て風量・換気回数を軽視

清浄度 ≠ フィルター等級。 エリアが等級を維持できるかは 時間あたり換気回数(ACH) にも大きく依存:

  • ISO Class 5:400–600 ACH
  • ISO Class 7:70–100 ACH
  • ISO Class 8:20–40 ACH

ACH 不足では最高級フィルターも無力 —— 汚染発生速度が希釈速度を上回る。ACH 過剰は電気代と光レジスト拡散の犠牲。計算して決める数字であって、勘ではない。


ゾーニング + レイヤリング + 差圧 + ACH、4 次元を同時に設計することが、ファブのエアろ過を「本当に機能」させる条件。

単点最適化(1 つのフィルター層だけアップグレード)は歩留問題をほぼ解決しない。汚染はシステム問題だ。